Marunouchi.com Facebook Twitter Youtube instagram

グランプリ

東京藝術大学大学院浅野 克海 Katsumi Asano

エネルギー(極彩破)
Energy(Gokusaiha)
審査員コメント

一見すると、一気呵成かつ即興的に制作されたかのようなスピード感を思わせる作品ですが、実物を仔細に見ていくと、計画性を持って設計された支持体に、緻密に時間をかけて描かれた絵画であることがわかってきます。伸縮可能なインスタレーションとしての構造と相まって、豊かな可能性を持つ絵画であると考えます。

(弘前れんが倉庫美術館 副館長/木村 絵理子)

三菱地所賞

京都市立芸術大学大学院汪 汀 Wang Ting

A Moment of Pleasure
審査員コメント

身体的、生命的、性的、あるいはファッショナブルなイメージにとらわれがちなピンクという色を、知的な操作によって思索的な作品に作り上げた手際に感心した。人間と自然、見ると見られるといった対比はさらに大きな構想へと展開させられる可能性を秘めており、今後を期待する。

(三菱一号館美術館 学芸員/野口 玲一)

OCA TOKYO賞

東京藝術大学大学院GORILLA PARK

Relief—1,Relief—2,Relief—3,Relief—4
審査員コメント

この作品にはまず古代の壁画の時代から甦ってきたような、不思議な神格性を感じた。特に一本の巨木からReliefという技法を使うことにより、木の精が芯から生まれ出ずるが如く、人間と自然と関係性までを想起させる力を感じる。一方で触れてみると木の持つ優しく柔和な手触りがあり確かな技術の裏打ちもある。不思議な、かつ、強力な存在感を発するなど、今後の作品に大きな期待を感じた。

(OCA TOKYO 館長/廣野 研一)

フランス大使館賞

京都芸術大学大学院松田 ハル Hal Matsuda

Destroyer
審査員コメント

松田ハルさんの作品は、新しいテクノロジーを探求し、それらをキャンバスに再統合し、絵画的な物質性を与えています。また逆の動きとして、牧歌的な風景や花束が、新しいダイナミズムを見出しています。絵画と拡張現実の間のこのような対話が、新しい表現形式を生み出し、喚起された情景をどのように再構成するかが、鑑賞者に委ねられています。

(在日フランス大使館 文化担当官/サンソン・シルヴァン)

今村有策賞

秋田公立美術大学後藤 理菜 Rina Goto

「兎と老者」、「墓地の木」、「兎蝙蝠曼荼羅」
The Rabbit and The Old Wood, The Tree in the Cemetery,
Mandala of the Rabbit Bat
審査員コメント

境界の存在、そして自然とはカオティックであり、時には破壊的でもある。それは後藤が経験した大震災も同じだったのだろう。そこで彼女の見た風景が、次に新たな風景を生み出している。その風景の物語は不気味でありながら魅力的だ。

(東京藝術大学大学院美術研究科 教授/今村 有策)

木村絵理子賞

名古屋芸術大学大学院宇留野 圭 Kei Uruno

17の部屋 - 耳鳴り
17rooms - Tinnitus
審査員コメント

映画セットの小部屋をイメージソースに、メタボリズム建築を思わせるような小空間の連なりの中を流れる空気が、多重奏のような音を発しています。空気の流れや、密室性に対して人々の意識が先鋭化した時代の恐怖や狂気を、形と音に置き換えたような、不穏な時代の音響彫刻としても見えてきます。

(弘前れんが倉庫美術館 副館長/木村 絵理子)

小山登美夫賞

東京藝術大学大学院南谷 理加 Rika Minamitani

Untitled #0250
審査員コメント

南谷理加さんの作品は、人物を主に描いているのですが、絵の中の色、線、空間ももちろん魅力的なのですが、顔の向きや視線によってなのか、絵の外に向かって、見ている人がいる空間をも取り込んでしまうのが魅力的でした。その絵の空間の広がりがとても新しく、今の時代を感じられ、とても親しみの持てる体験としてよかったです。

(小山登美夫ギャラリー 代表、日本現代美術商協会 代表理事/小山 登美夫)

後藤繁雄賞

東京藝術大学大学院綾野 文麿 Fumimaro Ayano

忘れることを忘れないように
Do not forget to forget
審査員コメント

歴史は忘却の集積で出来上がっている。それは忘れたくないことと、忘れたいことの相克で成り立っているのだ。綾野文麿はその歴史の宿命・パラドクスを「仮構」として作品化=暴露することに成功している。今後の活躍が大いに期待できる。

(編集者、クリエイティブディレクター、京都芸術大学 教授/後藤 繁雄)

建畠晢賞

東京藝術大学大学院髙橋 瑠璃 Takahashi Ruri

気になる人の気になるところ
Liking part of the liking human
審査員コメント

プライヴェートでゆるやかな雰囲気を宿した石彫ですが、それが感じさせるポエジーのユニークさに魅せられました。レインボーマーブルという石だそうですが、そのテクスチャーの温もりが、作者の資質と自ずとシンクロしているところもこの作品の面白さと言えるでしょう。

(埼玉県立近代美術館 館長/建畠 晢)

野口玲一賞

東京藝術大学大学院堀 聖史 Satoshi Hori

Guitar Room
審査員コメント

絵画とギター即興演奏はこの作家のなかでどのように関わっているのか。音楽はBGMでもないし、絵画とイメージを共有している訳でもない。しかしその起源はどこかで繋がっている。音楽や絵画がどのように生成されるのか、どこから来てどこへ行くのか、ただ一人作家だけが知っているのである。

(三菱一号館美術館 学芸員/野口 玲一)

藪前知子賞

東北芸術工科大学大学院ささき なつみ Natsumi Sasaki

リンジンの標本II - 天(てん)、リンジンスーツ、
リンジンの標本Ⅲ - 開(かい)
Specimen of Rinjin II - Ten (Sky), Rinjin Suit,
Specimen of Rinjin III - Kai (Open)
審査員コメント

自分たちの内面を見つめながら、そのなかに潜む抑圧に気づき、制作を通してそこからの解放を目指す作家が多いと感じられたのは、やはりコロナ禍の影響だろうか。明確な批評意識を持った女性作家が目立つ中、生物としての限界から解放されるための想像力を、生命に匹敵する強い存在感のある物質で具現化したささきなつみの作品に個人賞を差し上げた。

(東京都美術館 学芸員/藪前 知子)

オーディエンス賞

武蔵野美術大学キム・ジウォン Kim Jiwon

ウーマン
Woman

審査について

全国の主要な美術大学・芸術大学・大学院19校の卒業修了制作展を訪問し、5,000点以上の中から発掘したノミネート作品165点より、さらに厳選した22作品の卒業制作を展示。最終日の8月3日(木)に、審査員による最終審査を実施し、グランプリや審査員賞など全12賞を決定します。

  • ノミネート

    主要な卒業修了制作をリサーチし、一次審査の対象となる作品を選定

  • 一次審査

    ノミネート作家のポートフォリオなどを審査し、22の展示作品を決定

  • 最終審査

    丸の内エリアへ2週間展示し、会期最終日に最終審査を行い各賞を決定

ノミネート

卒業修了制作展訪問数19 校 /
ノミネート総数165名
  • 愛知県立芸術大学・大学院 15
    名古屋芸術大学・大学院 5
    名古屋造形芸術大学・大学院 0
    金沢美術工芸大学・大学院 3
    京都市立芸術大学・大学院 9
    京都芸術大学・大学院 16
    京都精華大学・大学院 1
    京都嵯峨美術大学・大学院 0
    成安造形大学 0
    広島市立大学大学院 2
  • 東京藝術大学・大学院 27
    武蔵野美術大学・大学院 36
    東京造形大学・大学院 12
    多摩美術大学・大学院 16
    女子美術大学・大学院 9
    日本大学芸術学部・大学院 0
    東京工芸大学・大学院 2
    秋田公立美術大学 3
    東北芸術工科大学・大学院 9
      

合計165