大手町・丸の内・有楽町の人々にスポットライトをあて、この“まち”の現在・過去・未来を紐解いていきます。
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一流が揃う「宝石箱」丸の内で、ブルックス ブラザーズ が守り続ける輝き

ブルックス ブラザーズ 丸の内
店長 番 祐介さん

アメリカでもっとも歴史あるアパレルブランド、ブルックス ブラザーズ。1818年の創業以来、アメリカントラディショナルスタイルを守り続け、ボタンダウンシャツを始めとする今では当たり前のアイテムを世に生み出してきました。丸の内ブリックスクエアに店を構えたのは2009年。オープン時にも店舗責任者として勤務し、現在も店長として伝統を受け継ぎ、次の世代へ繋いでいる番さん。丸の内とブルックス ブラザーズの親和性、伝統を守る立場だからこそ見えてきた街の変化と魅力をお聞きしました。

多様なニーズが求められる丸の内だからこそより質が高いサービスを

2000年にブルックス ブラザーズへ入社し、二子玉川店、新宿伊勢丹店などの勤務、エリアマネージャー経験もある番さん。路面店から百貨店まで幅広い店舗でのご経験を経て、現在は丸の内店の店長を務めています。

「もともと、学生時代からブルックス ブラザーズに強い憧れを抱いていました。授業が無い時間帯にはアルバイト代を握りしめてシャツを買いに行っていたほど。当時働いていたスタッフが、着こなしから振る舞いまでとてもかっこよく見えて、ここで働きたいと強く感じたのが入社の動機です。勤続20年以上経った今でも、ブルックス ブラザーズが守り続けてきた長い歴史は、お金では買えない尊いものだと実感しています。そういったブランドの歴史を語り継ぎ、お客様と共感し合えるというのは、非常に魅力ある仕事です」。

ブルックス ブラザーズは、どの店舗でも等しく高品質なサービスが受けられるのもファンの心を掴む魅力の一つ。特に、フルラインナップを揃える丸の内店では、サービス面でより意識している点も。

「丸の内店は日本有数のビジネス街に位置し、全国からお客様が期待を持ってお越しいただくことも多く、ご年齢層も10代から70代まで幅広いのが特徴です。若い頃にお召しいただいたブレザーを懐かしみ再びご購入いただくお客様もいれば、ご両親とお越しいただく学生の方など、ニーズはさまざま。ですから年代に関係なく、お客様ご自身が本当に求めているポイントをいち早くくみ取り、最適な商品をご提案できるよう心がけています。その点は、丸の内店のスタッフは特に長けていると感じています」。

ブルックス ブラザーズだからこそ感じる丸の内とニューヨークの共通点

ブルックス ブラザーズが現在の場所に出店したのは2009年。その当時も店舗責任者として勤務していた番さんだからこそ感じる街の変化も。

「当時はまだまだビジネス街の印象が強かったので、売れ筋としても紳士物ではスーツが主流でした。ここ最近はコロナ禍を経てテレワークが普及したこともあり、カジュアルな装いを好まれるお客様が増えましたね。以前は地下のフォーマルアイテムが揃うフロアが賑わっていましたが、最近では特に週末となると、1階のカジュアルファッションフロアが賑わっています。街の楽しみ方の多様化と通ずるものがあると思います」。

ビジネス街でありながら、ファッション、レストランも揃い、多くの年代の方が楽しめる丸の内。これはブルックス ブラザーズが本店を構えるアメリカ・ニューヨークとの共通点も感じるとのことです。

「丸の内はオフィスビルが並びながらも日比谷公園、皇居などの緑があり、また仲通りでは季節に合わせたイベントが行われ、ここにしかないショップも多く出店されています。僕もニューヨークに行った時に感じたのですが、ビジネスの最先端の街でありながら自然と調和した景観や、ビジネスの場としても娯楽の場としても一流を感じられることにより、訪れた人をワクワクドキドキさせているという点は、丸の内とニューヨークが非常に似ていますよね。だからこそ丸の内とブルックス ブラザーズは親和性があるのだと思います」。

これからも丸の内という「宝石箱」で輝くために

番さんは、そんな丸の内を「宝石箱のようだ」と表現します。

「アパレルやセレクトショップでもここにしかない商品を取り扱う店舗が多く、カフェでも豆や茶葉にこだわり、レストランもちょっと背伸びをしたくなる高級感が。そんな『一流』が揃う街だと思っています」。

多くの魅力溢れるこの街で、ブルックス ブラザーズもひと際輝きを放つ「宝石」の一つ。これからも輝き続けるために、伝統を守りながらもお客様のニーズに合わせた新しい挑戦を、常に続けていきたいと語ります。

「例えば、オーダーサービスもその一つ。スーツやシャツを着る機会が減った今だからこそ、あえて特別な1着をお召しいただいて、華やかな気分を感じていただきたいという想いがあります。幅広い生地を揃え、ボタンや裏地といったディテールをお選びいただき、素材、柄、スタイル、サイズをお客様のお好みに合わせ作らせていただきます。ジャケットだけ、シャツだけといった単体でのオーダーも可能です。2021年からは女性のオーダーも取り扱いを始め、これまでお買い求めいただいたお客様や、周辺で就業されているお客様まで、非常に好評です。今後は女性用ワンピースのオーダーも始まるので、オケージョンシーンでもご利用いただければと思います」。

また、店長の立場としてはこんな目標も。

「自分が入社前にスタッフに憧れたように、僕も若い世代の憧れの存在になれたらこんなに嬉しいことはないという気持ちもあります。接客サービスも魅力の一つとして製品をご購入いただくこともあるので、これからもスタッフとして、店舗として、輝き続けていけるよう、精進し続けたいです」。

Text: Emiko HishiyamaPhoto: Natsuaki YoshidaEdit: TOKYO GRAFFITI