わたしの荒野
この度、a.a.t.m.2011グランプリという名誉ある賞を戴きありがとうございました。修行僧にとっての僅かな甘露のようで、一時的ではありますが疲れた心や体を喜びで満たすことができました。そしてまた永い修行の道をひた進む、そのような心境です。実際に喜びの瞬間は2秒程でした。次の瞬間から頭を支配するのは「この次お前はどうするんだ?」という言葉が蝿のようにまとわりつきます。その蝿を納得させるには攻めの姿勢を崩さず作品を作り続けなければいけないんだと、わかっています。どこかで私がひよった作品を作っていたら、喝、と肩を叩いて下さればと思っています。(小山真徳)
今表現には、単なる自己表現力よりも他者への関心や外の世界と自分のつきあい方がますます問われるが、小山さんの作品は外界とのキャッチボールから始まっていて力強い。非常にヴァナキュラー(土着的)な作品で、独自の骨太な継続性を持つ作家。「一体これでどうやって食っていくんだ?」ということも含め、今後を楽しみにしています。(佐藤直樹・授賞式コメントより)
老生
a.a.t.m.2011での展示を迎えるにあたり、支えてくれた友達や関係者の方々に感謝したいです。搬入後の明け方は、完成度の高い他の作品と共に展示できる喜びで興奮気味でした。また、私にとって初めて鏡という素材を取り入れた作品なので、審査員の方々の評価を拝聴でき、客観的に自作を考え直す良い機会を得る事が出来ました。賞を頂けたことを励みに、沢山残る課題と向き合いより成長していきたいと思います。ありがとうございました。(今井悠子)
微妙な表情をして食事を待つ認知症の祖母の姿を、ヒューマニズムに陥らずに冷静に見つめ強固な表現にしようとしている。時代の転換期にどのような表現を選ぶかが問われる今、自身のローカリティと真摯に向き合い未来のエネルギーを生み出す姿勢を審査員一同で評価した。(後藤繁雄・授賞式コメントより)
あなたが持つ空間性について
本来、インスタレーションとして、音とドローイング作品の関係を双方向のコミュニケーションによって成立させようとする作品であることから、空間の制限の中でその意図を十全に伝える困難さが伴っていました。とは言え、ドローイングと音の即興性に加え、音があるイメージを特定してしまうことを逆手にとって、それらを裏切ることで、ステレオタイプではない豊かな感受性を観者から引き出そうとする姿勢は今後の活動を期待させます。 (天野太郎)
笑うということ
「笑う」という行為に対する徹底的なこだわり。人間が有する根本的感情を哲学的、社会学的視線を伴って見事に映像作品化されている。諧謔精神溢れる作品でもある。許諾処理についての課題は指摘しておきたい。(植松由佳)
鴉、俺たちは弾丸をこめる
写真は近年コンテンポラリーアートの分野で非常に重要になっている。川島崇志の作品は、写真をコンセプチュアルな舞台、関係づくりと捉える野心がたのもしい。高質な表現を超える野太い挑戦をこれからも続けてほしい。(後藤繁雄)
Weakness
現代美術の分野で学生や若手の作家が発表できる場やコンペが増えている中、一種の有頂天気分が見られてきたが、昨年から今年2月にかけて発表された作品から選抜された今回の受賞作品には、長い時間の評価に耐えうる落ち着きと普遍的質が備わっている感じがして、うれしく思います。(木幡和枝)
swallowed up in fire 他
謝花さんはカラフルな下地の上にクレヨンで黒い面をつくり、爪でひっ掻いて作品をつくる。溢れ出てくるイメージは下から表れてくる色と呼応し、さらに豊かな画面をつくりだす。神秘的で魔術的な感覚と想像力が魅力的だ。(小山登美夫)
根の風景
植物の根をひたすらに写し取る営みの厚みに圧倒される。コンセプトとかスタイルとか、そんなことはどうでもいい。同化しようのない植物の根への憧れから、ただ描いている。その清々しさ。モチーフや手法は変わっても、食えても食えなくても絵は一生描き続けてほしい。(佐藤直樹)
リビングルーム
大きなサイズの画面に、暖色系の色彩を駆使したダイナミックな空間。室内の個々の物体は抽象とも具象ともつかぬ表現で解体されるが、それは作者の十分に冷静な計算によって確固とした絵画的造形性を保持している。若さの持つ勢いと理性が程良く調和している。(高橋明也)
おつかれ 他
伊藤彩の作品は絵画の中だけで実現可能な、イマジネーションを超えた奇抜なナラティブが描かれている。“子供の下ネタ” から発想を得た破天荒に不条理でいきいきとした画面は、世界の別の見方を伝えている。一つ一つの形のデフォルメの面白さ、やりっぱなしの未完の部分も一つの世界として呼吸している。(長谷川祐子)
ゴルゴンの三姉妹
彫刻という分野は、ある種エネルギーの力を固定化させることと、一方その動き続けるエネルギーを見せる表現でもあるが、定着させることと動き続けること、その両者が一つの作品にうまく同居していると思った。次の展開を予兆させるところもあって期待します。(小谷元彦)
おつかれ 他
「子供の下ネタ」を主題に制作している私が、まさかシュウ ウエムラ賞を受賞させていただけるなんて夢のようです。シュウ ウエムラやビューティーをテーマに、世界の人々に愛される製品づくりのお仕事をお手伝いできることに感謝しています。
いろいろなアイディアを膨らませ、表現の幅を広げられるようなチャンスを与えていただけたので、大きな自信にも繋がりました。わくわくしています。(伊藤彩)
伊藤彩さんが描きだす目にあざやかな色彩感覚、可愛らしくコミカルでもありシニカルでもあるモチーフ。
独創的な世界観に無限の発想力と日本のサブカルチャーを感じました。(シュウ ウエムラ インターナショナル事業本部長 ヴァンサン ニダ/シュウ ウエムラ インターナショナル アーティスティック ディレクター 打出 角康)
SCAFFOLDMAN 他
「彫刻」が持つ非現実的な存在感をコミカルに表現しつつも、人はなぜ「彫刻」をつくり続けるのか? 「彫刻」とは一対何なのか? という問いを含んでいる。技術的なクオリティの高さからも今後の展開が楽しみ。(H.P.FRANCE 戸塚憲太郎)
老生
クオリティが高く大変多様な全体の作品の中から、私が今井悠子さんの作品を選んだのは、とりあげられている主題と作者の大きな慎みに感動したためです。主題を変化させる手法と、一連の顔、抑制されたアングルは、作者の卓越した技法とその大きな人間性を証明しています。(フランス大使館文化部次席参事官 フランシス・メジエール)
『水鏡 -void-』『水鏡 -birth-』
7/3〜7/18の期間中、a.a.t.m.の会場で来場者の方々が選ぶオーディエンス賞の投票が行なわれました。
今年は最後まで大接戦の末、僅差での決定でした。267名による投票の結果、アートアワードトーキョー丸の内 2011 オーディエンス賞は、桑田朋以さん(東京藝術大学)『水鏡 -void-』『水鏡 -birth-』に決定!
ご投票いただいた皆様、ご協力ありがとうございました。
投票者に当たるホテル宿泊券の抽選結果は、後日商品の発送を持ってかえさせていただきます。
このような賞をいただき、今回展示するにあたって協力してくださった方々、見に来てくださった方々に改めて感謝いたします。このような空間に展示できたこと、私の作品がたくさんの方に会うことができたこと、とても嬉しく思います。ありがとうございました。(桑田朋以)
投票期間 | 2011年7月3日(日)〜7月18日(月・祝) | ||||||||||||||||||||
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投票場所 | a.a.t.m.インフォメーションコーナー | ||||||||||||||||||||
投票数 | 267票 | ||||||||||||||||||||
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■ご投票いただいた方の中から抽選でプレゼントが当たります!
※投票期間が終了しましたので、現在は受け付けておりません。ありがとうございました。
ロイヤルパークホテル エグゼクティブフロア ご宿泊券/1名様
*当選はご宿泊券の発送をもってかえさせていただきます。
協力:ロイヤルパークホテル