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アワード

グランプリ

片山真理 (東京藝術大学)



受賞のコメント

a.a.t.m.2012 グランプリという素敵な賞を戴き、まことにありがとうございました。
作ること、それをゆるすこと、朝まで語り合うこと、時々けんかすること、音を聴くこと、歌うこと、踊ること、本を読むこと、ことばを勉強すること、続けること、求めること、声を出すこと、歩くこと。
設営中、作品を手に取りながら、それらを教えてくださった方々の事を思い出していました。
これから、感謝の気持ちを伝えに皆に会いにいこうと思います。(片山真理)

審査員評

この作家の作品に接した人はまず、きわめて個人的な身体の事柄から発して、自分を取り巻く世界とかかわっていくその方法論に圧倒されるだろう。幼少の頃からの思い出、日常の現在、そして未来への希望へといったさまざまなレヴェルのものを、言葉にできない諸々の形象を通して繋げていくその制作プロセスは造形作家としてごく当然かもしれない。しかし、そこに一貫するのが、内的・私的発想だけに留まらない開かれた感受性であり思想であることは明らかだ。彼女の制作のひとつひとつは、繊細な詩的想念と普遍的な概念の双方向から裏打ちされていて、個人と社会のあらゆる可能性に向かって扉を開いている。(高橋明也・三菱一号館美術館館長)

準グランプリ

潘逸舟 (東京藝術大学)


受賞のコメント

地下通路のガラス張りの中で展示することは、とても難しく、展示空間としては初めてでした。そのような場所を想定したインスタレーションを制作したことがなかったので、いろいろと展示においての勉強にもなりました。支えてくれた友人や関係者のみなさん、協力してくださったスタッフの方々に心から感謝いたします。みなさんのおかげで準グランプリをとることができました。本当にありがとうございました。今回の受賞をばねに今後とも制作を続けていきたいです。『NEIGHBOR』という今回の作品は、他者という存在を「隣人」という言葉でとらえてみるということを試みた作品です。アパートの隣の家族について考え始めたのが、制作のきっかけでした。これからもこのテーマをさらに考え続け、深めていきたいと思っています。(潘逸舟)

審査員評

日中間の歴史と怪奇的に浮上する物議に心を痛め、作品化してきた彼が、その矛盾を全人類に問いかける方法を見つけた。ユーモアを混じえて。問題の汎化(汎=Pan)へ向かう彼(潘=Pan)の飛躍は重要だ。それにしても、今、このタイミングに!!(木幡和枝・東京藝術大学先端芸術表現科教授)

審査員賞

天野太郎賞 糸川ゆりえ (武蔵野美術大学)


審査員評

ここでは、伝統的な絵画素材ではない素材、たとえば、トレーシング・ペーパー等をまるで皮層として使用しながら、揺らぐようなイメージの重なりを効果的に表すことで、よしもとばななの『王国』の一節からヒントを得た、虚実の間に宙づりにされた両義的な領域や、そこから喚起される危うさ、といったテーマを表現している。(天野太郎)

植松由佳賞 柳井信乃 (東京藝術大学)


審査員評

現代社会に対して極めて冷静な批判精神を持ち、それが見事に映像作品に昇華されていた。また限られた展示空間の中でも、モニターや音の効果についてもよく練られていたと思う。映像表現の背景に潜む日本画への疑問も制作を推進する理由であり見逃せない。今後の活動にも注視したい。(植松由佳)

後藤繁雄賞 井上康子 (京都造形芸術大学)


審査員評

染色という工芸の手法を駆使し、コンテンポラリーアートの文脈で成立する美しい作品を制作した。従来の絵画や写真表現の限界を突破した可能性を強く感じる。日常性をモチーフとするが、それが今後どのように発展するか楽しみだ。(後藤繁雄)

木幡和枝賞 金光男 (京都市立芸術大学)


審査員評

化学/工学としての写真(物質)にこだわり、デジタル画素写真(情報)に対抗する人は多いが、光と見る人の体験としての写真を物質化した試み。蝋などの素材の活躍も含めて、雄弁な視像体験。視界深度をたどるうちに、質量のある物質のヒエラルキーをたどり宇宙を夢想させる。(木幡和枝)

小山登美夫賞 中園晃ニ (東京藝術大学)


審査員評

中園晃二さんの絵画の魅力は、内容にともなった技法の多彩さにある。何を描くか、そしてどう描くか。素材がどう使われるかで異なる空間が浮き上がり、モザイクのように組み合わせられた集まりから絵画が立ち現れる。その実験に果敢に取り組む姿は、すばらしい。(小山登美夫)

佐藤直樹賞 有坂亜由夢 (東京藝術大学)


審査員評

映像・グラフィック集団「最後の手段」に所属し、すでに知る人ぞ知る活躍を展開する有坂だが、「テレビの上にものを乗っけることが出来た時代」への洞察というユニークな視点を持つ本作品には大いに唸らされた。既成領域の境界を浸食していく動力のようなものを感じる。 (佐藤直樹)

高橋明也賞 椿﨑千里 (武蔵野美術大学)


審査員評

まるで染色作品かと見まがうほどに、触知感あふれる、柔らかで優しい画面。リズミカルに連続する文様は、絞りや滲みを見せるテキスタイルの表現のようだ。全体を覆う色彩それ自身もまた、自然顔料を使ってファブリックを染め上げたかのような、深く軽やかな趣を見せる。技巧に裏打ちされた、伸びやかで素直な感性の発露。(高橋明也)

長谷川祐子賞 吉田晋之介 (東京藝術大学)


審査員評

だらしない形は具体的な意味をもちながら構築的に描かれる。グラフィックの強さと意味をたえずアンフォールドしていく意思が共存しているため、表層的でありながら、構造性をもっている。金属的でありながらファブリックの柔らかさ、ものの存在感を混乱させる一方で、マス(数学)や理論への意思を漂わせている。(長谷川祐子)

[ゲスト審査員] 加藤泉賞 上村静 (名古屋芸術大学)


審査員評

自分に向いていることを進めてる感じがよかったし、いつかいい絵を描きそうな感じもした。(加藤泉)

三菱地所賞

升谷真木子 (武蔵野美術大学)


審査員評

ネクタイやスカーフ、吊革といった、通勤を連想させるような日常的な事物を取り上げ、それらを周到に組み合わせることでアラベスク状の構成を作っている。それによって絵画としての強靱な表面が生み出されているのである。卑近な事象を入り口としながら高度な芸術の問題へと観る者を導く、その手際の良さを評価した。(野口玲一・三菱一号館美術館学芸グループ長)

シュウ ウエムラ賞

神谷麻穂 (金沢美術工芸大学)




受賞のコメント

この度はシュウウエムラ賞をいただきありがとうございます。
土という素材を扱っている自分がこのような賞をいただけるとは全く思っておらず、本当に驚きました。
さらにシュウウエムラのプロジェクトに携われるという素晴らしいチャンスをいただき、初めての挑戦に緊張とわくわくした気持ちでいっぱいです。
a.a.t.m.では作品を作り、人に見ていただける嬉しさを改めて感じました。
これからもよい作品を作っていけるよう制作に励んでいきたいと思います。(神谷麻穂)

審査員評

神谷さんの作品に見られる繊細で複雑かつ優しい色彩や光を意識した優雅に輝くテクスチャー感は、美しい化粧品を手にとり肌にのせてみたいと思う気持ちに共通します。自然の素材を美しいアートとして成立させています。(打出角康・シュウ ウエムラ インターナショナル アーティスティック ディレクター)

アッシュ・ペー・フランス賞

水野里奈 (名古屋芸術大学)


審査員評

作品の圧倒的なパワーはもちろん、見れば見るほど細部にまで広がる世界観に魅了されました。多くの要素が折り重なるように展開される画面を見ながら、描きたいものを全部取り入れたいという本人のコメントを聞いて、新鮮な現代性を強く感じました。 (戸塚憲太郎・hpgrp GALLERY東京ディレクター)

フランス大使館賞

金光男 (京都市立芸術大学)


審査員評

金さんの作品は、マチエールがとても魅力的でした。蝋とシルクスクリーンを取り込んでいるところも面白く、自然の光と人工の光のコントラストがとても魅力的でした。フランスの美術史に非常に近いものがあり、彼にフランスの香りを感じたので、ぜひ日仏会館で展示していただきたいと思いました。 (エレーヌ・ケルマシュター・フランス大使館文化アタッシェ)

オーディエンス賞

中園晃ニ (東京藝術大学)


受賞のコメント

オーディエンス賞を頂き、とても嬉しく思いました。自分の作品を自分以外の人間がちゃんと見てくれていることを少しでも実感できた貴重な経験となりそうです。励みになります。どうもありがとうございました。(中園晃ニ)

中園さんに投票した方々のコメント
  • 原始的なpower、神話的なしずかさ、邪悪な人間性、すべてのバランスが美しい。(50代女性/主婦)
  • とってもインパクトがあり、思わず作品の前で止まりました。幻想的でおもしろく、作品に引きこまれるような感じでした。(50代女性/主婦)
  • よく目についたから。目に飛び込むものがあった。(50代男性/会社員)
  • 色彩がすばらしい。立体感がせまってくる。(70代女性/主婦)
  • デジカメの絵を見ている姿に今を感じます。(50代女性/会社員)
  • 独特な魅力があって、展示されている作品の中で一番伸びしろがありそうな風格がありました。(30代女性/公務員)
  • 小学生っぽい世界にシンクロしました。(30代女性/アルバイト)
  • 夜と昼を対比させ日常を表現している点。(60代男性/自営業)
  • とても気になる絵です。楽しそうに描いていて良いです。(20代女性/学生)
  • 色彩がきれいです。作品の中の眼がかわいい。(50代女性/アルバイト)

投票期間:2012年4月28(土)~5月13日(日)
総投票数:240票