丸の内エリアの情報はこちら Marunouchi.com Facebook Twitter

アワード/Awards

審査について/Selection

全国の主要な美術大学・芸術大学・大学院18校の卒業終了制作展を訪問し、11,000点以上の中から発掘したノミネート作品112点より、さらに厳選した25作品の卒業制作を展示。最終日の6月20日(木)に、審査員による最終審査を実施し、グランプリや審査員賞など全10賞を決定します。

Will feature 20 brilliant pieces selected from among the graduation projects of students at 18 major art universities and graduate schools around Japan. More than 11,000 artworks were showcased in the graduation projects around Japn, and 112 of them were nominated, and 25 of the art pieces were specialy chosen to be exhibited in a.a.t.m. Of the 20 nominated pieces, 10 outstanding pieces will be chosen to receive the Grand Prize, Judge’s Prize and nine other awards on the final day of the exhibition(Thursday, June 20th).

グランプリ/Grand Prize

小嶋晶 Aki Kojima
京都市立芸術大学大学院
Graduate School of Arts, Kyoto City University of Arts

審査員コメント
解剖学的知識や分節された身体が記号・象徴として扱われるのは、長い美術表現の歴史の中で常套手段の一つであるが、小嶋晶の作品でのそれは、欠損した自己や家族を補い合うための循環装置の部品として機能する。このことは看護師として長年勤務してきた作者が、生きるために身体を切断するという現場に立ち会ってきたことに由来する独自性である。美術のための美術に陥らない学際的視点は、現代社会にインパクトを与えようとする作家にとって大きな武器となるだろう。
(横浜美術館 主任学芸員/木村絵理子)

丸の内賞(オーディエンス賞)/
Marunouchi Prize (Audience Prize)

新宅加奈子 Kanako Shintaku
京都造形芸術大学大学院
Kyoto University of Art and Design Graduate School

A.A.T.M.2019三菱地所賞/
A.A.T.M.2019 Mitsubishi Estate Co.,Ltd. Prize

芦川瑞季 Mizuki Ashikawa
武蔵野美術大学大学院
Graduate School of Art and Design, Musashino Art University

審査員コメント
何気ない光景に口を開く、非日常的な感覚をマンガのコマに描く。写実とマンガの対比に加え、さらに物質とイメージといった要素の衝突にまで発展させている。変貌激しい世界において、あらゆる局面でスムーズな移行が許されず、矛盾や衝突が生じている。この作品はこうした現在のあり様を象徴しているようにも思えるのだ。
(三菱一号館美術館 学芸員/野口 玲一)

審査員 今村有策賞

小林椋 Muku Kobayashi
京都市立芸術大学大学院
Graduate School of Arts, Kyoto City University of Arts

審査員コメント
樹脂で作られた稚拙にも見えるオブジェが回り、それを捕らえたビデオカメラのピンボケ映像がモニターに映し出され、それもが動き始める。私たちはなんとか、この目の前の出来事の意味を捉えようとするが、この作品は容易に意味付けや命名をから逃げ続けるように作られているようだ。この彫刻とも科学モデルとも呼べるオブジェクトは私たちに新たな感覚を呼び起こす。この作品と作家は注目して見てゆきたい。
(東京藝術大学大学院美術研究科 教授/今村 有策)

審査員 木村絵理子賞

影山萌子 Moeko Kageyama
武蔵野美術大学大学院
Graduate School of Art and Design, Musashino Art University

審査員コメント
イメージと実体の間を往還する中から生まれてくる造形は、非現実的なものに見えて、実は日常の延長から生まれるものであることが徐々にわかってくる。このイマジネーションの展開能力を活かして更に作風を発展させてくれることに期待したい。
(横浜美術館 主任学芸員/木村絵理子)

審査員 後藤繁雄賞

中澤ふくみ Fukumi Nakazawa
京都造形芸術大学
Kyoto University of Art and Design

審査員コメント
人間の肉体の変形、快楽、機械というラディカルなテーマを、東洋的な線描とアニメーション、平面(ドローイング)、立体によるインスタレーションによって極めて、オープンなシステムで見事に表現している点を高く評価します。よりラディカルな展開を大いに期待します。
(編集者、クリエイティブディレクター、京都造形芸術大学 教授/後藤 繁雄 )

審査員 小山登美夫賞

谷口智美 Tomomi Taniguchi
武蔵野美術大学大学院
Graduate School of Art and Design, Musashino Art University

審査員コメント
皮膚という外界との境界とそのさきの外界への広がり。常に自分の身体を使って制作された谷口さんの作品には、時間と素材の触感が重なり合い、実に静かでウソのない事実が跡となっている。先へ先へと行為がつながり、自己を取りまく外界に向かうとき、希望のような感覚を覚えました。
(小山登美夫ギャラリー 代表、日本現代美術商協会 代表理事/小山 登美夫)

審査員 高橋明也賞

中根唯 Yui Nakane
東京藝術大学大学院
Graduate School of Fine Arts, Tokyo University of the Arts

審査員コメント
新丸ビルロビーの大空間と対称的なミニマリズムのセッティング。しかしその作品に矮小感はなく、逆に別次元の大きさを感じさせる。人々の共有する「絵」のイメージが逆説的に絵画を成り立たせているユーモラスな情景。
(三菱一号館美術館 館長/高橋 明也)

審査員 建畠晢賞

髙橋稜 Ryo Takahashi
東京造形大学
Tokyo Zokei University of Arts and Design

審査員コメント
抑制されたモノクロームに近い画面に人物像や風景が描かれているが、どこか不穏でもある謎めいた気配を宿した作品でもある。写真の方法、ペンティングの方法、ドローイングの方法を混在させている点も興味深い。絵画の可能性も深める技術力の高さも評価されよう。
(多摩美術大学 学長、埼玉県立近代美術館 館長/建畠 晢)

ゲスト審査員 現代芸術活動チーム「目【mé】」賞

岩村拓哉 Takuya Iwamura
京都市立芸術大学
Kyoto City University of Arts

審査員コメント
これだけ「何を作っても良い」とされる芸術表現の中で、確かに持っていたであろう躊躇や葛藤。それに対する作者の勇気が本当であれば、作品を観る私たちに迫る拮抗として、生々しく届く。
(現代芸術活動チーム「目【mé】」メンバー/荒神 明香、南川 憲二)

ゲスト審査員 加藤泉賞

渋谷七奈 Nana Shibuya
東北芸術工芸大学大学院
Graduate School of Art and Design, Tohoku University of Art And Design

審査員コメント
好きな感じのペインターが何人かいましたが、渋谷さんは彼女しか引かない線を引ける気配があったので彼女にしました。今後、伸びてほしいと思います。
(アーティスト/加藤泉)

ゲスト審査員 伊藤圭子賞

丹羽優太 Yuta Niwa
京都造形芸術大学大学院
Kyoto University of Art and Design Graduate School

審査員コメント
長谷川等伯を最も敬愛しているそうだ。伝統的な寸法、仕様、技法、画材を用いながら、今の異常気象の脅威をのびやかに描ききっている。現代人の恐怖を江戸時代の鯰伝承に置き換える日本的なユーモア精神によって今後も豊かな世界観を創り出していくと思う。技と心にじっくり磨きをかけて欲しい。
(日本経済新聞社 常務執行役員/伊藤 圭子)

フランス大使館賞/
French Embassy Prize

山本捷平 Shohei Yamamoto
京都造形芸術大学大学院
Kyoto University of Art and Design Graduate School

審査員コメント
山本捷平の作品は、比較的シンプルなプロセスに基づいている。色彩のある、もしくはモノクロのグラデーションの背景の上に、美術史からのモチーフや、シルエット、サイン、人物像が複製されている。非常にバランスのよい方法で、モティーフ(ルネサンス、古代彫刻、等)やプロセス(ポップアート)、あるいは効果(抽象絵画)を介して、美術史の異なる層を呼び出す。山本の高度な技術力によって、独創的な構図のなかに数多くの芸術的フェレランスが集められ、それぞれがひそやかに対話をしているのである。
(フランス大使館文化担当官/アンスティチュ・フランセ日本 芸術部門主任 サンソン・シルヴァン)