丸の内ドットコム

art award tokyo marunouchi 2010

受賞作品

グランプリ賞

松島俊介 (情報科学芸術大学院大学)


VOICE-PORTRAIT ~self-introduction~

作家コメント

今回の結果は自分にとって喜びと同時に大きな驚きでした。この受賞を糧とし、今後もさらに制作活動に専念していきたいと思います。本当にありがとうございました。

審査員評

“VOICE-PORTRAIT ~self-introduction~”は、インターネット動画投稿サイトにあげられている、見知らぬ人々の自己紹介画像、それぞれが自分について語っているビデオ映像と音声を流用してつくられている。すべての映像は松島の顔を正面から撮影してつくられている。彼はもとの各自の映像を観察、研究し、そのわずかな表情の変化を自分の表情として転換した。作家の若いユニセックス的とでもいえるやさしい顔立ちは、不思議と男女をとわずに「本人」らしく見えている。
音声はオリジナルの流用。ウェブ上に流布する他者と一体化し、共有意識を自分をポートとする表現で、示す。松島はドキュメンタリー映像を手がけており、このようなウェブからとるような実験的な試みは初めてという。アンディ・ウォーホルのビデオポートレートから約半世紀、大きくかわった個人の自我となめらかなメディアネットワークによって形成された集合意識の関係を、松島はこの作品によって示している。(長谷川)

※本作品はインターネット上でもご覧いただけます。Link

準グランプリ賞

岩名泰岳 (成安造形大学)


[左]蜜の木 [右]そして、また生まれる

作家コメント

三重県の小さな村で画家になろうと思ったのは14才のときでした。それからずっと村の自然の中で絵を描いてきましたが、今回のような素敵な賞をいただくことができて本当に嬉しいです。今後、海外で制作をはじめていきますが今回の受賞は大きな励みになりました。関係者の皆様、僕の住む小さな村に心から感謝したいです。ありがとうございました。

審査員評

いま絵画に新しさを生み出すことは大変だと思う。その中で岩名さんは、故郷である三重の山奥で森の中に入っていって、暗闇でスケッチブックを開き、草木や樹液といったマテリアルと対話しながら絵を描いていると聞いた。その絵画へ向かう姿勢、描き続ける可能性に我々は注目した。今後の活躍を期待しています。(後藤)

審査員賞

天野太郎賞枝史織 (東京藝術大学)


[左上]舞台 [左下]ダム [右上]競馬場 [右下]プール

審査員評

作品の中に登場する構造物=ハコモノをポリティックスの表象として捉える批評的精神に好感が持てた。自ら作るジオラマを作品イメージの源泉とする手法をとっている。ここでは、完全なジオラマを作るのではなく、なるべくラフな形態に止めることで、喚起される想像力が絵画化することへの推進力となっている点が評価理由となった。(天野)

植松由佳賞黒川潤 (東京藝術大学)


Faces

審査員評

一見すると陰影をつけた表情を分割し切り替わるシンプルな作品にも思えるが、その能面を連想させる画面構成の巧みさは観者をひきつける強さを持ち、作品のインスタレーション性の高さにおいても非常に評価できる。(植松)

後藤繁雄賞松下徹 (東京藝術大学)


梅図[on the wall]

審査員評

表現は今、再びイリュージョンとマテリアルの新たな次元に切実に直面している。松下徹の作品は、平面と立体を等価にあつかいつつ、絵画的な限界を快ちよくブレイクスルーさせた強度をもつ点が高く評価される。トランスミッションの美学がここにある。都市の流動性の表出だ。(後藤)

木幡和枝賞戸田沙也加 (女子美術大学)


[左]少女群像図「劇場」 [右]少女群像図「窓」

審査員評

いくつかの文化的クリシェがモノクロ画面に深さとシワを付与する。メレット・オッペンハイムの濃密な毛並、立ち歩く狼。無数の赤ずきんちゃんたちが、青匂いエロスで狼君を誘惑する、はやし立てる、笑い殺す。(木幡)

小山登美夫賞佐藤翠 (東京造形大学)


Uplift room

審査員評

今回の審査では爆発的で圧倒的な欲望を感じるような「ダントツ」がなかったのが残念だったが、佐藤翠さんの作品は、自分が大好きな対象を的確に捉え、フェティッシュなところが素直に現れていてモチベーションの高さが伝わり、気持ちよかった。(小山)

佐藤直樹賞松隈無憂樹 (東京造形大学)


[左]それは、さして重要な事ではありませんでした [右]空も閉じ込める奴ら

審査員評

今ペインティングで作品を成立させることはとても難しいと思う。自己による自己のための解決ではなく他者に届くものを考えなければならない。わかりやすいものが届いているとは限らないとすると道のりは長いと言わざるを得ないがチャーミングなものと出会えば抜けていく気がします。 (佐藤)

長谷川祐子賞山崎由紀子 (京都造形芸術大学)


ベニヤ

審査員評

ガロなどに代表される日本の文学的、あるいはメタ文学としての絵とセリフの組み合わせで表現される世界の深さと複雑なニュアンスは、絵画の中に流用することは容易くはない。文字は表象を補うのではなく、その強さにおいて自立しているからだ。山崎はフォーマリステックな構成と、文字の意味の脱臼と強調、そしてイメージの意味を巧みに組み合わせ、第3の表現空間をつくっている。 (長谷川)

[ゲスト審査員] 名和晃平賞川上雅史 (京都市立芸術大学)


泣く俺 未完 1b

審査員評

今回の出品作そのものはあまり好きではないのですが、彼の創作活動の根底にある衝動を強く感じました。これから一気に伸びる方ではないか、と思います。おそらく絵画の歴史を批評的にとらえ、技法的にもトレースしながら吸収するタイプ。今後、彼独自の方法論が必ず見つかるはずだと信じています。 (名和)

オーディエンス賞

寺口朝菜 (金沢美術工芸大学)


reproduce itself

4/29~5/9の期間中、 a.a.t.m.の会場で来場者の方々が選ぶオーディエンス賞の投票が行なわれました。
今年は最後まで大接戦の末、 僅差での決定でした。 422名による投票の結果、 アートアワードトーキョー丸の内 2010 オーディエンス賞は、寺口朝菜さん(金沢美術工芸大学)『reproduce itself』に決定! この作品は、シルクの糸に染色し、よった糸を用いて糸の太さ、密度を変化させながら制作されています。その独自のステッチの手技と華やかな色使いが、多くの人の心を捉えたようです!

ご投票いただいた皆様、ご協力ありがとうございました。
投票者に当たるホテル宿泊券の抽選結果は、後日商品の発送を持ってかえさせていただきます。

作家コメント

オーディエンス賞をいただきうれしく思います。
a.a.t.m.は公開審査やオーディエンス賞など、周りからたくさんの意見をもらえる大変貴重な機会でした。
この喜びと経験をこれからの制作に生かしていきたいと思います。

寺口さんに投票した方々のコメント
  • パッと眼を引かれた点と、さらに近くで鑑賞して繊細な点に二度感動しました。(30代/女性)
  • 刺繍がとても細かく、全体的に見ると花のよう。すごくきれいでした。(30代/女性)
  • 感性と技術のバランスが優れている。(50代/男性)
  • 非常に気に入った。美しいこと。(70代/女性)
  • 迫力があった。力強い。(40代/女性)
  • きれいで華やかな気持ちになれた。(40代/女性)
  • 編み込みだと思わなかった。陰影の付け方が面白い。(10代/女性)
  • 染色の新しい形になると思う。今後、きれいなだけで終わらないよう、訴える何かが欲しい。(50代/女性)
  • 丁寧な仕事。きれいな音楽みたいだと思いました。(20代/女性)
投票期間 4月29日(木・祝)~5月9日(日)
投票場所 a.a.t.m.インフォメーションコーナー
投票数 422票
1位寺口朝菜
2位枝 史織
3位松元久子
4位小宮太郎
4位田中健二
6位佐藤 翠
7位永畑智大
8位松下 徹
9位小浪次郎
10位戸田沙也加

ご投票いただいた方の中から抽選でプレゼントが当たります!
※投票期間が終了しましたので、現在は受け付けておりません。ありがとうございました。

ロイヤルパークホテル エグゼクティブフロア デラックスツインルームご宿泊券/1名様

[ホテルの外観]
ロイヤルパークホテル(中央区日本橋蛎殻町2丁目1番1号)
東京メトロ半蔵門線「水天宮前駅」に直結、東京メトロ日比谷線・都営浅草線「人形町駅」より徒歩5分。東京シティエアターミナル(TCAT)に隣接し、羽田・成田両空港にもアクセス良好。

*当選はご宿泊券の発送をもってかえさせていただきます。

協力:ロイヤルパークホテル

三菱一号館美術館「マネとモダン・パリ」展(開催中~7/25まで)無料鑑賞券/10組20名様

*無料ご鑑賞券のプレゼントは終了しました。

シュウ ウエムラ賞

小浪次郎 (東京工芸大学)


anomaly and normal 変則と普通

審査員評

光、構成、センス、そして視点のユニークさ。都会的エッジネスとポエム。一瞬一瞬の日常のはかなさ、美しさをとらえて、無限の感情をわきあがらせる作品に高い将来性を感じました。 (シュウ ウエムラ)

シュウ ウエムラ賞

シュウ ウエムラは、—the art of beauty— すなわち、美とアートの融合を追求し続ける化粧品ブランドです。才能溢れる若手アーティストの育成に貢献していきたいと考え、昨年よりシュウ ウエムラ賞を設立しました。受賞者にはデザインコラボレーションの機会が与えられ国際デビューへの扉が開かれます。

シュウ ウエムラは、アートの世界に造詣の深かったブランド創始者 植村秀の哲学に基づき、2004年山口藍とのコラボレーションを皮切りに、数々のアーティストとコラボレーションを発表してきました。2006 年にはコンテンポラリーアーティストのジョン・トレンブレイ。2007年にはグラフィックデザイナーの稲葉秀樹。2008年にはファッションデザイナー V&R、建築・空間・パッケージ・グラフィックと様々な分野でデザインを手がけるグエナエル・ニコラ、写真家、映画監督でもある蜷川実花。昨年は、漫画家の安野モヨ子そしてファッションデザイナーの津森千里など、世界で活躍するアーティスト達とコラボレーションを行い、アートと美の融合を追求し新たな美の領域を開拓してきました。2009年より、アートの世界に少しでも貢献すべく、才能溢れるアーティストを発掘し支援するシュウ ウエムラ賞を創設し、アーティストが世界に羽ばたく機会を与えています。記念すべき第一回のシュウ ウエムラ賞は、東京芸術大学大学院美術科を修了した河野里沙さんが受賞しました。河野さんの作品は、2010年の秋冬モードメイクアップコレクションのパッケージデザインとして登場する他、旅をテーマにしたデザインのクレンジングオイルがアジア各地のDFS(免税店)や主な航空会社の機内販売にて発売されます。これらの製品は、2010年夏より日本をはじめ世界17カ国で限定販売されます。どうぞご期待ください。