アワード/Awards

審査について/Selection

全国の主要な美術大学・芸術大学・大学院17校の卒業終了制作展を訪問し、2,500点以上の中から発掘したノミネート作品114点より、さらに厳選した20作品の卒業制作を展示。最終日の9月24日(日)に、審査員による最終審査を実施し、グランプリや審査員賞など全11賞を決定します。

Will feature 20 brilliant pieces selected from among the graduation projects of students at 17 major art universities and graduate schools around Japan. More than 2500 artworks were showcased in the graduation projects around Japn, and 114 of them were nominated, and 20 of the art pieces were specialy chosen to be exhibited in a.a.t.m. Of the 20 nominated pieces, 10 outstanding pieces will be chosen to receive the Grand Prize, Judge’s Prize and nine other awards on the final day of the exhibition (Sunday, September 24th).

グランプリ/Grand Prize

泉 桐子 Toko Izumi
武蔵野美術大学大学院
Musashino Art University Graduate School

審査員コメント
泉桐子の描く線は、塗り込んでゆく色の隙間に残される空間が線になる。その絵画はまるで彫り込まれた空間が重層するかのようだ。それは目の前の世界の奥に潜む何かを探そうとするテーマに呼応し、濃密で静謐な世界観をつくりあげている。日本画の大きなポテンシャルを感じさせる秀作である。今後ますますの活躍を期待したい。
(名古屋芸術大学特別客員教授/今村 有策)

a.a.t.m.2017三菱地所賞/a.a.t.m.2017 Mitsubishi Estate Co.,Ltd. Prize

藤原 葵 Aoi Fujiwara
名古屋芸術大学
Nagoya University of Arts

エフェクトの引用、キャラクターの採用といった手法は、こんにちアニメを題材にする際の常套句なのだが、それをしながらも圧倒的でダイナミックなスケールの絵画を実現した点を評価した。ここに現出された抗いがたく混沌とした状況は、現在の私たちをとりまく社会の混迷や自然環境を反映しているに違いあるまい。
三菱一号館美術館学芸グループ長/野口 玲一)

今村有策賞・フランス大使館賞/French Embassy Prize
丸の内賞(オーディエンス賞)

奥村 彰一 Shoichi Okumura
多摩美術大学大学院
Graduate School of Tama Art University

審査員コメント
日本画を学び、北京で中国画を学んだ奥村の作品は中国絵画と日本画、そしてモダンなグラフィックが絶妙に融合したもので、南国の花と緑の山水と浮遊するかのような人体で構成された作品は、現代のアジアの空気と同時に深い伝統を感じさせるものとなっている。このコスモスをどのように展開してゆくのかに注目したい。
(名古屋芸術大学特別客員教授/今村 有策)

中国の伝統的な山水画と現代的なテーマを、安易な方法に陥ることなく融合させた、高い技術力に裏打ちされた奥村彰一の作品。中国の美学と日本の美学とが対話し、19 世紀をはじめとする西洋絵画の再解釈の影響を受けたフォルムも見出せる。奥村の才能によって、それらが新たなアクチュアリティを取り戻している。
(フランス大使館/アンスティチュ・フランセ東京)

木村絵理子賞

小﨑 絵美子 Emiko Kozaki
武蔵野美術大学
Musashino Art University

審査員コメント
大型の金属板という重量感のある素材を用いながら、紙のような質感、印刷物に由来するイメージの軽さを併せ持つ造形の面白さを評価しました。ここから更にコンセプトによる肉付けがなされていくことを期待します。
(横浜美術館 主任学芸員/木村 絵理子)

後藤繁雄賞

本山 ゆかり Yukari Motoyama
京都市立芸術大学大学院
Graduate School of Kyoto City University of Arts

審査員コメント
コンテンポラリーアートにおいて、絵画は窮地に立たされている。現代社会の矛盾と乖離しているように思われるからだ。しかしここにきて自律的絵画の逆襲がある。本山ゆかりの作品は、モダニズム絵画が持っていた可能性を見事に再生させる。(京都造形芸術大学 教授/後藤 繁雄)

小山登美夫賞

国川 広 Hiro Kunikawa
武蔵野美術大学大学院
Graduate School of Musashino Art University

審査員コメント
国川広さんの作品は、肖像画、人物画という一見、伝統的な主題をモチーフにしているようでいて、人が生きていく空間を描くことの実験、確認が続けられている。主眼は人物でも風景でもない。そんな謎に富んだ作品を見て、モランディをちょっと思い出す。境界線上に繰り広げられるとてもスリルに満ちた画面はとても魅力的です。
(小山登美夫ギャラリー代表/小山 登美夫)

高橋明也賞

田中 陽子 Yoko Tanaka
金沢美術工芸大学大学院
Graduate School of Kanazawa College of Art

審査員コメント
陶芸作品としての高度な技術は言わずもがな、複雑な構成の立体作品が生み出す強烈な世界観がたいへんに魅力的です。作家は、クラフトと純粋芸術の垣根を易々と越えて制作している印象を受けました。今後の展開が楽しみです。
( 三菱一号館美術館館長/高橋 明也)

建畠晢賞

新井 あかね Akane Arai
武蔵野美術大学
Musashino Art University

審査員コメント
無機的な金属格子の蓋を被せた側溝が画面を斜めに横切り、それに沿って少女が歩いている。木立の茂み。青いテーブルと椅子。日常的であるはずのイメージが相互に無関係に浮かんでいる。静謐だが不思議な雰囲気を持った空間に惹かれた。
(多摩美術大学学長/建畠 晢)

シュウウエムラ賞/shu uemura賞

山田 茜 Akane Yamada
名古屋芸術大学大学院
Graduate School of Nagoya University of Arts

描画の基本となる線への拘りが見事に表現されており、見ているものに、ある種の感慨を投げかける作品だと思いました。最小限で最大限の効果を、表現するメイクアップと、何所か似ているように感じました。