群衆の一人
マグダレーナ・アバカノヴィッチ
1992年/ブロンズ/ポーランド
アバカノヴィッチは、1930年ポーランド生まれ、1960年代後半に、麻を織り上げて作った巨大で有機的な形の作品《アバカン》は、ファイバーアーティストであった彼女は従来のタピスリーの枠を超えた独創的なスタイルを確立しました。80年代後半《群衆》シリーズは、人体を主題にしており、麻布で覆われた頭部のない、身体の片面だけが形とられ、裏が空洞になっている像が何体も並び、抑圧された人間の不安や孤独が迫ってきます。この作品は、麻布の荒い表面をそのままブロンズで鋳造しています。個性は剥ぎ取られて群衆のなかに埋没してしながらも生き残る人間の不屈の意志が伝わってきます。