幸運の木
ウンベルト・マストロヤンニ
1978年/ブロンズ/イタリア
マストロヤンニはジャコモ・マンズー、エミリオ・グレコなどと共に、戦後イタリア彫刻界を代表する巨匠の一人です。第2次世界大戦中に軍隊に徴兵されましたが、脱走してレジスタンス運動に参加、この間の戦争体験から自由と平和への願望が終生の彼の芸術コンセプトとなっています。彫刻の森美術館所蔵《ヒロシマ》(1960年)は反戦・平和への祈念が込められた作品のひとつです。本作の「幸運」と名づけられた木には、盛んに生い茂る枝、果実がたわわに実っています。戦後まもなくの悲壮感から脱却・再生し、生命に明るい希望を見出した、作者の思いを窺い知ることができるようです。